冷徹ドクター 秘密の独占愛
「……Cにはなってないようだな」
改めて口腔内をチェックしてもらうと、脱離した窩洞に虫歯は見られなかった。
良かった!とホッとする。
なるべく歯は削りたくない。
「そろそろ替え時だったのかもしれないな。少し残ってるレジンだけ取り除いて、このまま充填できる」
「そうですか、良かったです」
閉じていた目を開けると、マスクをした律己先生の顔がすぐ側にあってやっぱり気恥ずかしい。
仕事中いつも近くで見ているのに、ユニットに横になって見るのはまた全然見え方が違う。
「……A2で良さそうだな」
歯の色を見るためのシェードガイドを手に、律己先生は私の口の中をじっと見つめる。
綺麗な顔を近距離で見ているのも間が持たなくなり、そっと目を閉じた。