冷徹ドクター 秘密の独占愛


……あれ?


だけど、なかなかユニットは動き出さない。
仕方なくそっと目を開いてみる。

さっきよりも目前に迫った律己先生が、口元を覆っていたマスクを顎の下にずらしていた。

そして、驚く間もなく近付いた律己先生に口付けを落とされてしまう。

急なことでビクッと震えた体が、倒れたままのユニットを微かに揺らした。

覆い被さるような体勢になった律己先生の肩を無意識のうちに掴むと、その両手は簡単に取られユニットに押さえ付けられてしまった。

こんな場所で唇を割った濃厚なキスを仕掛けられ、顔面から広がるように体が熱を上げていく。

思いがけず甘い吐息を漏らしてしまった私を、顔を離した律己先生は意地悪く笑った。


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