冷徹ドクター 秘密の独占愛



いよいよ来てしまった。


階段下にある『東條歯科医院』の診療案内の看板を目にしながら、久しぶりにスーツを着た自分を見下ろす。


急募!の文字にとりあえずくらいの気持ちで電話をかけると、すぐにでも面接に来てほしいと言われた。

昨日の今日だ。展開が早すぎる。

おかげで慌てて履歴書を買いに走る羽目になった。


医院へと上がる階段を上がりながら、急激に緊張の波が押し寄せてくる。

階段を上がりきってガラス張りの入り口が近付くと、受付に人の頭が見えた。


いざっ、参る!

心の中でそんな掛け声をかけてドアを引っ張った。


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