the bonds of friendship



薄暗い廊下。
ひんやり冷たい空気。
壁にもたれ病室をみつめる。
誰一人口を開こうとしず
ただ沈黙が包む。
存在しているのは病室の中から聞こえる声と
処置をする虚しい音だけ。




2つの足音が寂しく響く。
やがて病室の前で止まる。
   
「亮は?」

心配そうに問いかける博貴。
  
「分かれへん。」

その問いに答えるすばる。




重い空気に包まれる廊下。
病室内から聞こえる声に不安を覚える。
ただじっと扉を見つめる。

   

「なぁ。ずっと考えてたことがあるねん。」


沈黙を破る忠義の声。
   
「何や?」

その声に耳を傾ける隆平。
   

「あの時の事故のことや。」

「せやから何なん?」


イラついた口調のすばる。
   

「何で亮は自分が章大を殺したんって思ってるん?」

「自分が運転してたからやろ?」


冷静な口調の忠義に答える裕。
   
「よう思い出してや。あの時、運転してたのは。」
   
「まさか。」

引きつる信五の顔。
   

「章大や。」


顔を歪ませ答える博貴。
   
「せや。なんや博貴は最初から知ってたん?」
   
「ああ。」

力なく答える。
   

「何でや。何で知っとたんのに亮をせめたんや。」


博貴の胸倉を掴む信五の手。
   
「演技かと思ってん。最初は雛乃のこと思って亮が演技してるんやないかって。せやけど違った…。演技ちゃうかった…。」

掴まれた胸倉の手を振りほどくこともなく答える。





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