the bonds of friendship




パタパタパタ。

後ずさる足音。

   


「嘘や。嘘やろ?」

凍りつく空気。
青ざめていく雛乃の顔。
博貴から手を離す信五。
   
「雛乃。」

雛乃を見つめる博貴。
   

「嘘やって言ってや。運転してたんは亮なんやろ?章大やないって言ってや。」


震えた声。
   
「嘘やない。」

首を振り答える。
   
「忠義。」

忠義を制止する裕。
   


「嘘つかんといて…。いやや…いやぁぁぁぁああああ。」



耳を塞ぎ皆を見る雛乃。
   
「嘘やないねん。」
   
「やめろや。今、言うことやない。」
  
「はっきりさせたほうがええねん。聞かれてしもうったんや。」

忠義を止めようとする裕を制止するすばる。
   
「博貴。嘘やって言うってや。嘘なんやろ?亮が倒れたんも何もかも嘘やって言う
ってや。」

縋りつくかのように博貴に向けられた視線。
   

「ほんまのことや。嘘やないねん。」


博貴の言葉に走り出す雛乃。
   
「雛乃。」

追おうとする博貴を制止する信五。

   
「お前は追うなや。俺が行く。」


冷静な口調の信五。
   
「せやけど。」
   
「お前だと近すぎるねん。雛乃が甘えてしまうやろ。」

博貴を睨みつける信五。
   
「信五に任せれば大丈夫や。」

隆平の言葉に信五の顔を見る博貴。







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