the bonds of friendship



真っ黒に染まる空。
冷たい風。
息をきらしその場にしゃがみこむ雛乃。
濡れた顔。
止まらない涙。
   
「雛乃。」

雛乃の肩に触れる信五。
   
「みんなんとこ戻ろうや?」

泣き声だけが寂しく響く。
   

「…嘘やないの…。」


呟く雛乃。
   
「ああ。嘘やない。」
   
「博貴はそんなこと一言も言わへんかってん。」 
   
「あいつがお前のそんな姿見て言えへんやろ。あいつの優しさや。」
   
「…そんなん…そんなん。優しさちゃう。」

真っ赤な目。
涙で濡れた顔で振り返る雛乃。
   
「雛乃。」
   
「優しさちゃうねん。今頃そんなこと言われてはいそうですかっですまへんねん。…ずっと…ずっと亮が章大を殺したそう思っててん。せやのに…せやのに…違った。章大は亮まで巻き込んで自分で死んでん。私を残して自分だけ死んでんよ。笑っちゃうわ。」

手で涙を拭う。
   
「そんな言い方すんなや。」
   
「…。」
   
「そんな言い方すんなや。章大は死にたくて死んだんやない。好きでお前一人残して死んだんやないねん。」

雛乃をまっすぐ見つめる信五。
   

「信五に何がわかるん?私の何がわかるん?」


信五へと悲しみの感情をぶつける雛乃。
   
「わかんねぇよ。お前の気持ちなんてわからへん。せやけどな章大のことが好きやったお前の気持ちと章大を失ったときのお前の気持ちはわかるねん。俺だけやない博貴やって亮やって裕やってすばるやって隆平やって忠義やってみんなお前の気持ちわかるん。お前は一人やないねん。もっと周りを見ろや。お前が一番辛いときそばに誰がおった?」
   
「…博貴…。」
   
「そうや。博貴がおってん。お前が章大と喧嘩したときは?」
   
「…亮…。」
   
「今は?今は誰がおるん?」
   
「…信五…。」
   
「俺だけやないはずや。裕にすばるに隆平に忠義。みんなおるねん。お前の周りに
はみんなおるんや。」

諭すかのように1つ1つ言葉をかける信五。
   

「一緒にもどろうや。」


雛乃背中を優しく抱き起こす信五。



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