the bonds of friendship
行きかう人々。
見舞い客に看護士。
何も変わらない風景の中を
後ろを振り向くことなく走り続ける亮の腕を掴む信五。
「待てや。待てって。」
掴んだ腕を力いっぱい引っ張る。
「…離してや。頼むわ。一人にしてや。」
俯いたまま信五を見ようとさえしない。
「出来ひんよ。今のお前一人になんか出来ひん。」
「頼むわ。信五。」
信五の手に落ちる亮の涙。
一瞬、腕を掴んでいた信五の手が緩まる。
手をふりはらい走り出す振り向くこともなく。
立ち止まったまま動けない信五。
亮の後ろ姿を見つめることしか出来ない。