the bonds of friendship
オレンジ色に染まる空。
風がカーテンを揺らす。
窓の外へ目を向ける亮。
「亮どうしてん?」
ボーっとしている亮に問いかける信五。
「何でもない。それより今日あいつら来うへんな。」
「何?俺やけや不満?」
ニヤニヤと笑う信五。
「ちゃうわ。何や静かやなって。うるさいやつらやって思ってたんやけどいないとこんな静か何やなって。」
「寂しいやろ?亮可愛いな。」
頭をなでる信五。
「触るなや。」
「何?照れとるん?」
照れる亮にますます調子に乗る信五。
コンコン。
ドアを叩く音。
「誰か来たみたいやな。」
ドアを開ける信五。
たたずむ雛乃。
「雛乃やないか。よう来たな?入りぃや。」
雛乃を病室に招き入れる信五。
「ほな。俺、帰るわ。」
気を利かせ病室を後にする信五。
静まり返る部屋。
ドアの前で立ち止まる雛乃。
「そんなとこ立っとらんと座りぃや。」
頷くことしか出来ない雛乃。
沈黙を破るかのように先に口開く亮。
「ずっとな。雛乃に一言謝りたかってん。ほんますいませんでした。」
ベッドの上 頭を下げる亮。
「…何言うてるん?謝らんといてや。謝るんはうちのほうや。ごめんなさい。何も知らんと亮に酷いこと言うてしもうた。ほんまはもっと早くここに来たかってんけど…来たかってんけど…。」
涙をこらえる雛乃。
「わかってる。わかってるわ。」
微笑む亮。
「亮。」
「泣くなや。章大が好きやった雛乃は泣き虫な雛乃やない。笑っとる雛乃や。」
泣きながら微笑む雛乃。
「そうや。笑ってる雛乃や。」
二人を包む和やかな空気。
言葉なんてもう必要なく
ただ笑顔だけで会話をする。