the bonds of friendship
夕焼けに染まる空。
暖かなオレンジ色の空とは反対に
川の音が寂しく聞こえる。
流れいく時間に身を任すかのようにじっと川を見つめる亮の姿。
その頬には涙が光る。
エンジンの切られたバイクを重そうにおしながら河原を歩く裕。
寂しそうに川を見つめる亮の姿が痛々しく見え
1つ深呼吸をすると後姿に声をかける。
「亮。亮やん。」
小走りにバイクをおしながら近づく。
声のするほうへ視線を移す亮。
「何や。お前、信五と雛乃のとこ行ったんやないの?」
いつも通りの表情といつも通りの声のトーンで話しかける。
「…行った…。逃げてきてしもうた…。」
声を押し殺し、肩を震わせ泣く亮。
「お前泣いてるん?」
バイクをその場に止めると亮の横へと腰をおろす。
「なぁ。…俺、どうしたらええ?…どうしたらええ…。」
涙でぐしょぐしょに濡れた顔で裕を見上げると
裕のTシャツを力いっぱい握り締める。
「…分かれへんねん。いくら考えても答えがでえひんねん。俺が章大を…俺が章大を…。雛乃から…。」
気が動転している亮にかける言葉が見つからない裕。
ただ亮をそっと自分の胸へと抱き寄せると
背中をトントンと子供をあやすかのように軽く叩く。