西城家の花
「何ですか、姉上。俺、今は食事に…」
「他に話すことないの?」
「はぁ?」
さっきの出来事をまだ怒っているのかと少し鬱陶しく感じていたが、まったく予想もしていなかったことを聞かれ思わず声を上げるとまたふくらはぎに激痛が走った
「いい加減にしてください、姉上。俺のふくらはぎのつねるのは!!地味に痛いです」
「んなわけないでしょうが、あんたそんなに体鍛えておいてこんな攻撃で痛がるなんて嘘も休み休み言いなさい」
嘘じゃないし、第一体鍛え上げていても直に抓られたら痛いものは痛い
「というか、あんた目の前に未来の嫁がいるっていうのに何ご飯なんか悠長に食べてるのよ!もっと気に入られるように機嫌を取りなさいな」
さっきの騒動ですっかり美桜の気が滅入ってしまったと思っている満はなんとかして弟を気に入ってもらおうと目をギラギラと光らせているのだが、当の大志は
「お断りさせていただきます。何故そのようなくだらないことをして、食事を中断させなければいけないのですか。俺は今、食事に集中したいのでどうか邪魔しないでいただきたい」
「なっ…くだらないことって…!!」
阿呆なこと抜かす阿呆な弟に一発喝を入れてやりたいところだが、何分今は目の前に大志の縁談相手がいる手前、派手な動きが出来ない満はぐっと握りしめた拳をそっと膝の上へと置いた
姉の言葉に少し苛ついた大志は脇目も振らずにただ目の前の料理を黙々と平らげていくが、時折目の前の美桜から感じる視線に居心地の悪さを感じつつ、平然と食事を続けた
「…大志様…、やっぱり素敵…」
目の前の少女がぽつりと何かを呟いたことも気づかないほどに