西城家の花
「あぁ…、大志様…あぁ、大志様!!」
西条の屋敷から戻り、母の小言から逃げるように自室に駆け込んだ美桜は机の上に広げてある愛しの人の見合い写真を胸に抱きしめながら寝具へと飛び込んだ
想像していた以上に素敵な方だった
たくましい体に凛々しい顔立ち、おまけに声までとてもハスキーで、全てのことにおいて男らしすぎる
大志こそまさしく美桜が求め続けていた理想の男性
うっとりと大志の写真に指を這わせながら、美桜はこの写真を見つけ出したときのことを思い出していた
大量に送られてくる見合い写真を暇つぶし程度で眺めている最中に幼い弟が森のくまさんだと大はしゃぎで持ってきた写真に写っていた男性こそが大志だったのだ
一目その写真を見た瞬間、美桜の体にかつて感じたことのない衝撃が走ったあの感覚は今でも覚えている
送られてくるその他大勢の写真たちは何の面白みもない笑顔を浮かべた男性の写真ばかりで正直、どんな美丈夫であってもまったく魅力が感じられなかった
しかし写真の中の大志ときたら見合い写真だというのにお世辞にも笑顔とは言えない仏頂面、だがそんな表情にどうしても惹かれてしまう
そしてなんといっても衣服を着ても隠し切れないあふれんばかりの筋肉に美桜の胸はきゅんきゅんしまくっていた
みなさまも既にお気づきであろうが、美桜の好みはTHE男の中の男
つまりは雄々しければ雄々しいほど彼女の胸はときめいてしまうのであった
一瞬にして大志に心を打ちぬかれてしまった美桜はこうしてはいられないと、美桜の婚約者を選ぶのにあーでもないこーでもないと打ちひしがれている両親のもとへと駆け込んだのである
これが全ての始まりだ