西城家の花






後ろから突然の大志たちの逃亡に対しての大ブーイングが聞こえてくるが、そんなものに構っている余裕はなかった





明日はきっとめんどうなことになるぞと内心憂鬱になりながらも大志はしっかりと美桜の腕を掴み、速やかに校門から離れたのであった







*
*







大志の通う学校の校門からだいぶ離れたところで、先ほどから何も言わずに歩み続けていた大志の足がぴたりと止まった






「…あの、大志様…?」





大志の突然の行動に戸惑ったのか、美桜の口から発せられた声は弱弱しかった





しかし、その弱弱しい声が別の理由から出たものだと思っている大志は掴んでいた美桜の腕を放し、今度は彼女の細い肩を掴んだ







「やはり、どこか具合が悪いのではないか?」






さっきから美桜の異変には十分なぐらい大志は気づいていた





何時みても赤みがったか頬に、荒い息遣い





これで気付かないというほうがどうかしている





昨日の様子からあまり体調がよろしくないと思ってはいたが、まさか今日もそんな状態が続いていたのは…





何時倒れてしまうのではないかとずっと気が気ではなかった大志はとにかく美桜をあの場から離れさせるべく先ほどのような強行手段に臨んだのである





そのせいで明日学校に赴くのがいささか怖いが、美桜にまた倒れられるよりかは耐えられる






「……………?」






しかし、大志の心配とは裏腹に、美桜は不思議そうに首を傾げていた





…おや?






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