西城家の花







想像していた反応と違い戸惑った大志はふと我に返り、自分の今の状況を確認し、美桜の肩を掴んでいた手をパッと放した





大柄な自分が小柄な少女の肩を掴んで、迫っている姿はあまりにも不審すぎる





それにこんな大男にいきなり肩を掴まれすごまれたのだ、きっと美桜だって怖がっているはず…と自分の行動に今更ながら後悔し始めるが、微かな笑い声で大志は顔を上げた







「おかしな大志様…うふふ」






そこにいるだけで誰もが魅了させられる絶世の美少女が笑う姿は何よりも美しく、普段女性にまったく心が揺さぶられない大志も思わず息を吞んで美桜に釘付けになっていた












ぐうううううううぅぅぅぅぅぅ







自分の腹が出てくるなんとも間抜けな音で、また現実へと引き戻されてしまった







「…………」





「………あの、」





「すまない、今日は朝から満足した食事が取れてなくてな…」







どう振舞っても格好がつかなく、美桜から視線を外しながらそう呟くと、美桜はまた鈴のような声であらあらと小さく笑い出した





いつもなら腹の虫が鳴ったくらいどうともないが、さすがにこの時ばかりは自分の腹の中の虫を恨めしく思う大志であった







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