西城家の花
さて、ここで何故美桜が突然大志の通う高校まで訪ねて行ったのかということを説明しよう
まぁ実に単純なことなのだが、先日の見合いで愛しの大志を目の当たりしたその日から、美桜の興奮と妄想が全然止まらなかったのである
何をするのにも頭の中は大志の筋肉…だけではなく、とりあえず大志のことばかりを考えてしまう
夢でも大志が大熊の着ぐるみを着て、美桜と森の中で出会うという有名な歌の歌詞のようなものを見てしまうし、相当重症であった
今日も朝から大志に会いたくて会いたくてたまらなかった美桜は、学校が終わるとすぐに大志のもとへと向かったのである
もちろん大志の通う高校もリサーチ済みで、いつも美桜の迎えに来る村本も無理を言って先に帰らせた
そして先ほどに至るということなのだが、大志の行動は美桜の興奮をますますヒートアップさせてしまった
まず出会い頭に大志の口から初めて自分の名前を呼ばれたことによって美桜の中がお花畑へと化した
そして自分の頭の中で大熊の着ぐるみを着た大志とお花畑でスキップしていると今度はまさかの『婚約者』発言で美桜は有頂天となった
今すぐにでもその場で叫びたい気持ちだったが、突然のことで胸がいっぱいいっぱいになりうまく息が出来ない
終いには大志の男らしいごつごつとした手で腕を掴まれてしまい、もう泣きそうになった時にあの言葉
自分を心配してくれたのは嬉しいのだが、あまりにも必死な顔で見当違いな発言だったので、失礼だと思いながらも笑ってしまった
けれどそのおかげで暴走も随分と収まり、わりと平常を装いながら大志と言葉を交わしている美桜であった