西城家の花
うっとりと大志の体に、主に道着からちらりと見れる筋肉に見惚れていると、周囲がざわつき始めた
どうやら二人の戦いに決着が着きそうらしく、美桜が慌てて大志の勇姿を見届けようと、筋肉から視線をずらすとそれは一瞬の出来事だった
大志が相手の道着の前襟を掴むと、一気にその体を持ち上げ、勢いよく背中から投げた
世にいう背負い投げを初めて生で見た美桜はビックリして、まぶたを何度も瞬かせていると、遠くから審判の『一本!!』という声が聞こえた
それと同時におぉぉぉぉと歓声が沸き上がり、そこら中から拍手の音が飛んでくる
「さすが西城家の大志さんだ。うちの主将があっさりと一本を取られてしまうだなんて…」
「しかも見事な背負い投げだったぞ。あんな奇麗な一本久々に見たな」
「一度でいいから稽古してもらいものだ」
次々と聞こえてくる大志への評価に美桜は何故だが誇らしげになった
そうですわ、そうですわ!
大志様は強くたくましく、勇ましい方なのです
そんな大志が自分の未来の夫だと妄想するだけでにやけが止まらない美桜はまた一人妄想の世界に突っ走ろうとしたとき、突然誰かに肩をガシッと掴まれた
「おーい、大志ー。美桜ちゃん、連れてきたぞー」
やっと組み合いが終わったと敦司が大志に向けて手を振ると、たくさんの人に囲まれていた大志の視線がこちらに向いた
運動した後の大志の額には汗がうっすらと浮かんでおり、その姿があまりにも刺激強すぎて、美桜は思わず大志から視線を逸らしてしまった