西城家の花
だから今日思い切って美桜の愛情たっぷりの特製お弁当を大志に渡そうと息巻いてたが、いざ本人を前に、しかもあんな姿を目にしてしまったものだからうまく顔を合わせられない
せっかく大志のために作ってきたのに、美桜は顔があげられないせいで、大志がいったいどんな反応してくれているのかがまったくわからない
「…そうか。有難く頂かせてもらおう」
頭上から聞こえてくる大志の感謝の言葉に胸がじーんとなるが、顔が上げられない美桜は何度もこくこくと頷いた
「た、たくさん量がありますので、どうか…みなさんと一緒に召し上がってくださいませ」
「そうだな。それでは遠慮なくそうさせてもらう」
そう言うと大志は、お重を包んでいる風呂敷を両手に抱えながら道場の中へと戻っていった
大志が道場に戻ってから暫くの間沈黙が流れたが、敦司がぼそりと呟き、それを破った
「おーい、美桜ちゃん。そろそろ俺を盾にするのはやめようかー」
「も、申し訳ありません!!」
敦司に言われて、申し訳なくなった美桜は慌てて敦司の背中から離れた
「いやー。美桜ちゃん本当にわかりやすいね。大志のこと意識してるって丸わかり」
「そ、そんなにですか?」
「うん、声だってすっごい震えていたし」
そう言われて、自分の行動を振り返った美桜は赤くなった頬を両手で押さえた