西城家の花
全て自分が不甲斐ないせいなのに、母を悲しませ、父を困らせる自分が情けなくて仕方なかった
そして今日ストレスが頂点へと達したせいで、普段なら絶対にありえないのに初めて会う少女の何気ない言葉で大泣きをしてしまった大志に、そんな事情など一切知らない美桜はうろうろと大志の前を行ったり来たりしていた
自分のせいで目の前の、しかも初めて会った男性を傷つけて泣き出してしまったことにひどく狼狽えてしまった美桜は、どうにかして彼を落ち着かせたかったものの、どうすればいいのかわからず困り果てていた
どうしよう、どうしようと悩ませていると、ふと先ほど大志が口にした言葉を思い出した
『あ、あの…』
大志に話しかけようとするも、泣いているせいで美桜ににまったく気づいていない様子で美桜はええいと咄嗟の行動に出た
ふと温かいものが手に感じられた大志が下を向くと、美桜の真剣な表情が目の前にあり、息を呑んだ
『大丈夫よ!!』
『…え』
『わたし、あなたのこと全然怖くないわ。ほら、この通り、手だって握れるのよ』
美桜はほらと大志と握っている手を見せつけるように上下に上げて見せた
『…だから、もう泣かないで。お願い…』
徐々に落ち着きを取り戻していった大志は、初対面の少女の目の前で大泣きしたことを思い出し、全身の熱が頬に集まっていくのを感じた
恥ずかしかった、こんな大柄の自分がたぶん年下であろう幼気な少女の前で泣き、それだけではなく慰められているということに
穴があったら入りたい気分だった