西城家の花
だが与一の言っていることも一理ある、確かにこのまま二人が大富豪をやっているところを見てもまったく面白くない
そこで先ほどより随分と数は減ったものの、未だに大志と与一の可笑しな決闘の様子を見物していた生徒に呼びかけた
「誰か一緒にこれにまざりたいやついるかー?六人でやるのが丁度いいからあと三人ぐらい欲しいんだが―」
すると見物客の中から一人、また一人と立候補があり、敦司を合わせて四人の生徒が大志と与一の間に割って入った
「ほら、これで大富豪やるのに最適な人数だ。大志、悪いがもう一度カードを配りなおしてくれ」
もう何がなんだかわからない大志だったが、敦司に言われた通り、もう一度カードを切り直し、今度は六人分、カードを配った
敦司の思いがけない行動にこちらも既に頭がついていけない与一だったが、反射的に目の前に配られたカードを手に取る
「それじゃあ始めるが、このゲーム色々とややこしいから、ルールは予め決めておこう。なんか取り入れたいのあったら言ってくれ」
「8ギリ」
「11バック」
「スぺ3返し」
次々と飛んでくる大富豪特有の数あるルールの中から、瞬時にルールを取り決めた敦司はよしっと自らの手中にあるダイヤの3を芝生の上に出した
「それじゃあ、ゲームスタートだ」
こうして、世にも奇妙な、もうすでにかなりぐだぐだになってしまったが、大多数の中で行われる大志と与一の決闘が始まったのである