西城家の花
どうせ大したカードではないだろうと軽く見ていた与一だったが、出されたカードを確認して目を剥いた
そこには4枚の4のカードがあり、つまりは
「革命だ。うわー、まずった。まさかここで革命が来るとは!!」
与一の声を代弁するかのようにゲーム終盤に備えてプレイしていた敦司の悲痛の声が耳に届いた
いったい誰がと与一の確信たる勝利を糸も容易く崩したやつを確認しようと顔を上げると、そこには目の前にいたはずの大男の姿はなく、見慣れた少女が瞳をキラキラさせていたのだ
「……美桜」
「大志様、大志様!すごいですわ、大志様の言うとおりに最後まで4を残していたら、あんな弱かった手札でも一番に上がることが出来ましたわ」
美桜が興奮が収まり切れない様子で後ろに控えていた大志に振り返ると、大志はそれに答えるように微笑んだ
「いや、本来なら革命出来る枚数が最初から揃っていることさえ珍しいからな。美桜は運を持っているのだな」
すると美桜は母親に褒められた子供のようににへへと満面の笑みを見せ、喜んだ
「やっぱ大志の入り知恵かー。くそーずっと大志が連勝続きだったから無理やりルールも知らない美桜ちゃんと交代してもらったのに、大志が後ろから助言してたら意味ないじゃないか!!」
「すまん、すまん。しかし敦司、お前だって何度も俺の手札に細工を加えていただろうが。おかげで初経験の美桜の手札がゲームが始まる前から負けるも当然のようなものだったから、少し手助けをしたまでのことだ」
「そうでもしないと誰もお前に勝てないんだよ!!!もうなんなんだよ、なんでお前異常にカードゲームに強いんだよ」
「このような遊びは脳の発達に良いからとよく従者たちと遊ばされていたからな」
大志と敦司の会話から既に何回も繰り返し対戦していたらしく、どうやら大志がずっと独り勝ちし続けて、このままじゃ永遠にゲームの流れが変わらないと思った一同が大志と未経験者の美桜をチェンジさせたというわけだ
しかしいつのまにかゲームに夢中になってしまっていた与一がそんなことに気付くはずもなく、言い争っている二人の口論を耳にしながら、その間でニコニコと笑っている美桜に視線を向けていた