西城家の花
「あぁ、構わない。それに美桜が気絶しても俺なら美桜の身体を支えることだって出来る」
「で、でも気絶だけじゃすまされないかもしれませんよ…。わたし自身、何をしでかすかわかりませんし…」
「大丈夫だ。それに美桜のやんちゃぶりは既に理解している。だから、顔を隠さないでくれ。隠されては、俺が美桜の顔を見れないからな」
「大志様…」
興奮状態に陥った美桜は家族でも手に負えず、常に精神統一することを教え込まれてきたが、まさか大志がそんな美桜も受け止めてくれると宣言してくれたことに美桜は心の底から嬉しかった
大志の懐の深さに感銘を受けつつ、目の前の笑顔の大志に見惚れていた美桜は注意してはずなのに、うっかりと大志の腕の筋肉をばっちりと視界に捉えてしまい、ついに我慢ならず腰を抜かしてしまう
ふらーと後ろに倒れこむ美桜を片腕に支えると、どうやら身体から力が抜けてしまったと気付いた大志は、美桜の小さな体を自身の胡坐をかいた足の間に座らせた
突然のことで何がなんだかわからない美桜は顔を真っ赤にさせながら、目線をさまよわせていると、密着するほど近いところに盛り上がった大胸筋が目に留まり、息が止まる
もう本当に無理!!お願いだからもう許してほしい!!と大志から逃げ出すようにジタバタと体を動かすのだが、ほとんど力がこもっていないその動きは大志によっていとも簡単に抑えられてしまう
完全に興奮状態でふーっと息を荒くさせる美桜を落ち着かせようと大志が何気なく彼女の手を握ると、美桜は肩をビクッと震わせる
大きな手で握られたことによって少しだけ心を落ち着かせた美桜が見上げると、美桜を眺めていた大志とばっちりと目が合った
それだけでも心臓に悪いのに、質が悪いことに大志が微笑んでいて、更に耳元で
「その着物は、母上と姉上が選んだものだな。やはり、美桜は何を着ても可愛らしいな」
なんてことを囁くもんだからもう美桜の心臓はバクバクが止まらず、破裂寸前だ
早く気絶できるものなら気絶したいとさえ思い、いろんな感情がぐちゃぐちゃになり、ついに美桜が泣き出してしまったときにやっと天からの救いが駆けつけてきたのである
「あんた、何してんの!!この阿呆大志がーーーー!!!!」
やっとこさ大志の部屋から彼の上着を取り出し、部屋に戻ると、弟に横抱きされ顔を真っ赤にして、涙目になっている美桜を目の当たりにした満の渾身の一撃が大志の頭に直撃したのである