西城家の花






そのせいで元々微妙だった大志の評価が悪くなることだってありえるし、最悪の場合また婚約破棄とかされたらとてつもなくめんどくさい






「お母様からも何か言ってやってくださいな。男女の何たるかというものを!!」






生意気なことに満の言葉に反論するようになった大志だが、母である聖の言葉には逆らえまいと少し卑怯だが聖に話を振った






「そうねぇ…。でも二人の様子だと子猫と戯れるという感じだから、あまり心配しなくてもいいじゃないかしら」






のほほんとした聖に頼ろうとした満も馬鹿だったが、母が何を言っているのかまったくわからず、満はガクッと肩を下した





本当に、自分の家族はどうしてこんな能天気な人間ばっかりなのだろうかと満はため息をつきたくなった





母と弟がのんびりとした人柄なため、比較的常識人である満は昔から随分と苦労したものだ





しかも今後そこにさらに美桜という制御不能の天然記念物が混じってくるのだから、これからの西城家がどうなってしまうのか少し恐ろしかった






「あ、あの満様。わたし、その、そういうつもりで大志様の部屋に赴きたいとは…」






やっと自身が言ったことの重大さに気付いた美桜は、大志の足の間で身を縮こまらせながら、恥じらうようにうっすら赤くなった頬を手で押さえていた





その姿は女の満でも愛でてしまいたくなってしまうほど愛らしく、そんな顔で訴えられていてもまったく説得力がない





しかしこのまま言い争いをしても、このままじゃ満が二人の仲を邪魔する姑みたいになってしまうので満は渋々美桜が大志の部屋に入ることを承諾した





その代わりに何か間違いがあったらやっぱり困るので、外に人を待機させるということを条件に出したら、大志に若干鬱陶し気に睨まれた満はそれを華麗にスルーした





やっと満の許可が下りたので早速美桜を部屋に連れていこうと、大志が彼女を抱えたまま立ち上がったのだが、さすがに意味もなく抱きかかえられながら移動することを恥ずかしがった美桜が暴れだしたので、仕方なく降ろしてから美桜の手をぎゅっと握った





美桜はえへへと嬉しそうに頬を緩ませると大志とともに彼の部屋へと向かった





仲睦まじい二人の姿が廊下の角から消えても、満の不安は中々消えそうになかった






< 95 / 115 >

この作品をシェア

pagetop