西城家の花
自分のことなんて気にせず、早く休んで欲しい美桜は大志に横になることを勧めようとして、ふとあることを思いついた
「大志様!よろしければ、わたしの膝の上に頭を預けてくださいまし」
「……?」
眠気のせいで頭が正常に働いていない大志が首を傾げると、少々興奮気味の美桜はぽんぽんと自身の膝を叩いた
「膝枕ですわ!!」
「…はぁ」
もしも大志の頭が正常に稼働していたのなら、ここで色々と美桜に問いかけるところなのだが、頭がボーっとしてる上に体がだるい、そして何よりも美桜の瞳がキラキラと輝いてることから、大志は何の躊躇いもなく美桜の膝へと頭を預ける
自分で提案していたものの、まさか何の前置きもなく大志の頭が膝に乗ったので、美桜は少しだけ戸惑ってしまったが、真上から見る大志の端正な顔にうっとりと見惚れてしまった
凛々しい太い眉、まっすぐな鼻筋に角張った輪郭、そして全体的に彫りが深く、男らしい顔立ち
鍛え抜かれた逞しい筋肉だけではなく、大志の顔はどこもかしこも美桜にとってはドストライクで、間近でそれらを眺めていられるなんてまさにこの世の至福
触りたくてうずうずと手を忙しなく動かしていた美桜だったが、膝の上にいる大志がもぞっと動いたので慌てて手を引っ込める
「やっぱりあまり寝心地がよろしくありませんか?」
「いや…、なんか気恥ずかしいものだな」
さっきは散々人前で美桜を抱きかかえていたくせに、膝枕で恥ずかしいと感じるのは不思議なものだ
しかし、確かに何かをするよりも何かされる方が相手が何をしでかすのかわからないものだから緊張するのかもしれない
というか現に美桜は、大志を膝枕にしているのだが、羞恥心がまったくない。むしろ楽しいし、嬉しい