溺愛スイートライフ~御曹司に甘く迫られてます~
7.緊急対策会議はスイートルームで
照明の灯りを反射してキラキラと輝くダイヤモンドを花梨はまじまじと見つめた。ブリリアントカットがはっきりと見て取れる。直径五ミリはあるだろうか。
誕生石がダイヤだなんて、なんかの呪いだと思ってた。芥子粒ほどの石でも、自分で買うのすらためらわれるほどお高い。結婚生活に向いてないと気付いた時点で、他人からもらうなんて考えたこともなかった。
こんなチャンスは二度とないかもしれない。まぁ、御曹司の新條が夫ならあるかもしれないが。だが唐突すぎて、その状況に今ひとつピンときてなかった。
「急にどうしたの?」
冷静に真顔で尋ねる花梨に、新條はため息をつく。
「リアクション薄いなぁ。精一杯舞台を整えてプロポーズしてんのに」
「だって、慎重で計算高いあんたが、いきなりすぎるんだもの」
花梨はここぞとばかりに核心を突いてみた。
「昨日から様子が変だし、東京でなにかあったんでしょ?」
指輪の入ったケースをテーブルの上に置いて、新條は諦めたように苦笑をたたえた。
「やっぱりブレないね、花梨は。まぁ、オレが余裕をなくして挙動不審になってたからバレて当然だろうけど」
「余裕なくしてたの? なんで?」
昨日のような前例のないトラブルでも、冷静に対処する新條が余裕をなくすって何があったのかものすごく気になる。
新條は少しうなだれて目を伏せたまま、ポツポツと白状し始めた。
「オレ、花梨とはずっと一緒にいられると思ってた。たとえ結婚しなくても、恋人になれなくても、ずっと友だちではいられると。でも、別れなきゃならないかもしれないと思ったら、やっぱり友だちじゃイヤだって気付いた。たぶん今を乗り切っても、花梨が他の誰かのものになるなら、どんな手を使ってでも全力で奪い返してやるって思うくらいに花梨を失いたくない」
そう言って新條はこちらを見つめた。その瞳に点った強い光にちょっとたじろぐ。どんな手を使ってでもというのが、こいつなら本当にやりそうでリアリティありすぎる。
それよりも途中でサラッと流された事の方が花梨には引っかかった。