溺愛スイートライフ~御曹司に甘く迫られてます~
腕を突っ張って抵抗を試みるがびくともしない。おまけに新條はその腕を余裕で捕まえて首筋に顔を埋めた。
「ひゃぁっ!」
思わず声を上げると、新條はおもしろそうにクスクス笑って首筋に口づけた。
またおもしろがられては悔しいので、今度はぎゅっと目を閉じて声を押し殺す。それすらも新條は楽しそうに笑う。反応しなければいいのだろうが、それは無理。
新條の唇は首筋を離れ、すぐに花梨の唇をとらえた。口の中に広がるブランデーの甘い香りと微かな苦み。
鼓動がドキドキと早くなる。それに合わせて頭の中がぐるぐると回り始めた。今頃になって酔いが回ってきたらしい。
全身から力が抜けて、気がつけば花梨はソファの上に押し倒されていた。
両手で花梨の頬を包み、新條のキスは次第に激しくなっていく。頬を離れた手が首筋をなでて、ゆっくりと下へ滑り体が無意識にピクリと跳ねた。
(まだダメなのに)
新條がお見合い問題を解決しないまま流されたらまずい。もしもそのまま見合い相手と結婚することになってしまったら、きっと喪失感半端ない。
頭ではわかっていても、体は新條を欲しがっている。花梨が新條の首に腕を回したとき、テーブルの上でスマホの振動する音が鳴り響いた。
「あ……」
ふたり同時に声を上げてテーブルの上に視線を移す。新條が体を起こして、軽く舌打ちしながらスマホを手に取った。
「くそっ、休憩終了。兄貴からメールだ」
スマホをいじる新條の隣で花梨も体を起こして乱れた服を整える。未だにドキドキしている花梨とは裏腹に、新條は平然とメール確認しているのがなんだか悔しい。
新條が少し目を見張りながらつぶやいた。
「へぇ、すごい。興信所並にデータが来た」
「どんなデータなの?」
他人のメールをのぞき見る訳にもいかないので、花梨は新條の顔を見ながら尋ねる。新條はスマホの画面をスクロールさせながら、内容をかいつまんで教えてくれた。