溺愛スイートライフ~御曹司に甘く迫られてます~
9.青天の霹靂
アラームの音で目覚めると、ベッドから新條の姿は消えていた。一瞬、夢だったのかとも思ったが、アラームをセットした覚えはないので、新條が抜け出すときにセットして行ったのだろうと推測する。
花梨はベッドから出ると、身支度を整えてリビングに向かった。
新條はソファに座って新聞を読んでいる。窓際にはテーブルと椅子がセッティングされて、朝食の用意が調っているようだ。花梨に気付いた新條は新聞を畳んで席を立った。
「おはよう。朝ご飯来てるよ」
「おはよう」
挨拶を交わして新條と一緒に席に着く。テーブルの上には、トマトソースのかかったプレーンオムレツにカリッと焼いたベーコンのプレートとグリーンサラダ、ロールパンが山盛りになったカゴが置いてあった。飲み物はオレンジジュースと伏せたコーヒーカップが置いてある。そばにあるポットにコーヒーが入っているのだろう。割と普通の洋朝食。
まだ七時になっていないせいか、窓から見える町並みは人影もまばらで少し薄暗い。
手を合わせた後オレンジジュースに手を伸ばしながら花梨は尋ねた。
「一旦家に帰るんでしょ?」
「そうだね。花梨は今日まで時差出勤だっけ?」
「うん。この間の岡山支店の件、部長に報告しておいてくれる?」
「わかった」
オレンジジュースを一口飲んで、オムレツに手を伸ばす。フォークですくって口に入れると、ふわふわととろけた。
高級ホテルの朝食だと思うと、ことさらおいしいような気がする。新條が呆れるほど朝からもりもりとたいらげて、一緒に新條の家へ帰った。