溺愛スイートライフ~御曹司に甘く迫られてます~
本日は時差出勤最終日。今月の給与支給業務は今日で終了する。さすがに最終日に問い合わせがあることはない。花梨が問い合わせ担当になってからは一度もなかった。
ということで、今日は一日のんびりと過ごせるはずである。けれど花梨は朝から何かに追い立てられているかのように焦ってそわそわしていた。
たぶん理由はわかっている。明日新條が見合いをするからだ。花梨ははっきり言って完全に部外者だし、何かできるわけでもないのに行く末は気になる。
見合いの結果次第では、新條との関係を改めなければならないだろう。これまでのように、いきなりとはいえ、抱きしめられたりキスされたりなどもってのほかだし、ふたりきりで飲みに行ったりもできない。
そして、早急に新條との同居を解消しなければならない。それは色々面倒だし、なにより寂しい。
ゆうべ気付いてしまったのだ。境界線が消えていることに。
なにしろ新條の腕の中で、安心して熟睡してしまったくらいである。
新條は何か光明が見えたと言っていた。詳しくは教えてもらえなかったけど、花梨はそれに全面的な期待を寄せている。新條を他の女に取られたくないから。