溺愛スイートライフ~御曹司に甘く迫られてます~
元々は新條に憧れていた田辺さんだが、初日に色々やらかしたことは本人も自覚していたらしい。
噂を聞かされて女性に冷たい事はわかったが、自分には特に冷たいように感じていた彼女は、全くそうは見えなかったけど、少なからず落ち込んでいたようだ。
花梨が時差出勤をしていた頃、田辺さんのフォローをしていた野口くんは、彼女に元気がないことを察知して相談に乗ってくれたり励ましてくれたりしたという。
そして三日前、野口くんから告白された。翌日野口くんは風邪で休んで未だに風邪を引きずっているので、確かにデートするヒマなどないかもしれない。
それよりもその風邪を押してまで、田辺さんの両親に会いに行ったのがすごい。でも風邪と緊張で、あの高級ホテルディナーの味はろくにわからなかったただろうなと思うと少し気の毒な気がする。
それにしてもまだ実質つき合っているとは言い難いのに、両親に紹介するって早すぎないだろうか。そう思って尋ねると、田辺さんは苦笑しながら答えた。
「私、中学校からずっと女子校で身近な男の人って父か学校の先生しかいなかったんですよね。それで両親が絶対男を見る目がないって決めつけちゃってて」
学生時代に若い男性教師に憧れて告白までした同級生はいたらしいが、田辺さんは教師は教師としか見てなかったという。ふわふわした印象とは対照的に案外現実的な少女だったらしい。
その点は両親も安堵していたが、大学時代や社会に出てからの方が心配していたようだ。そのため、つき合う前に紹介することが取り決められた。