恋 ~余命1年ってなんですか?
真生さんが、会いに来てくれた

すごく嬉しいことなはずなのに



「ごめんなさい……」



「何に謝ってる?俺と付き合うのが嫌になったのか?」


そんなことがあるはずない


「理江……何かあったのか?」


言えない……

言えないよ


「ごめんなさい」




真生さんは、帰って行った



「話してくれるまでいたいが……
新幹線の時間が……
落ち着いたら、連絡くれ」


「はい」





本当に、自分が嫌になる






それでも勇気を振り絞って
真生さんに電話した

「真生さんにとって、恋ってなんですか?」


『ずっと一緒にいたいと思うことだ』


だったら……
私は、それに適していない


「真生さん… 私は、恋って何か知らなくて
多分… もう…恋出来ない
ごめんなさい… ごめんなさい」


『それは、俺とは一緒にいられないと言っているのか?』


「……はい」




電話が切れた


恋ってなんですか?


電話みたいにぷつんと切れるものなの?


だったら…


私の中の真生さんが、消えないのはなぜ?




「卵巣癌で間違いありませんね
手術の日取りなど、話をしましょう」


「私、あと2週間で九州を離れるんです」




紹介状と診断書をもらい

病院を出た




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