恋 ~余命1年ってなんですか?
このまま…… どこか遠く

誰もいないところで

ひっそりと残りの時間を過ごすことも

考えていた




「理江!大丈夫か!?俺も行こうか?」

「康太呼ばれてないじゃん!」

「だって、理江… 」


久しぶりに康太が私の手を握る


「行くなよ!電話だって、メールだって
あるだろ!?」

「それじゃあ仕事にならないから
頼んだのよ」

「え…」


まさか、私からとは思ってなかったのね



「やるからには、最高の仕事したいの!
皆が、口を開けちゃうような!
すっごく幸せになるような!
生まれてくる理央の子供に、おばちゃん
凄いね!って言われたいの!!
康太にも、もう私のこと心配しないで
大丈夫って!そう思われたいの!」


康太の手をブンブン振り回し語る


「今夜は、支度があるだろうが
明日、皆で食事しないか?」




私は、幸せ者だね





たんなる出向なのに、皆が心配してくれる




私、そんなに頼りなかったのかな?








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