恋 ~余命1年ってなんですか?
パソコンを起動させ

矢野さんに、電話する


仕事の話をするはずが


「矢野さん…
矢野さんは、病気のこと
いつ、ゆーちゃんに言いました?」


ゆーちゃんとは、矢野さんの好きな人



「僕はね、1番に原君に言ったんだ
そしたら原君から、彼女に最初に言うべきだと言ってくれた
だから、すぐ彼女に告げた
僕は、癌になった…とね」

「ゆーちゃんは?」


「『あらそう』」

「え?」


「そんなもんだったよ
だって、僕達は幼なじみってだけで
付き合っているわけでもなかったから
それに……
ゆーちゃんが、言ったんだ
『まーくんは、長生きするタイプよ
あと、30年は死なないから仕事して』
ってさ」


「ゆーちゃんって…凄いですね
だから、30年なんだ…」


「まさか、こんなに生きられるとは
思ってなかった
ゆーちゃんが生かしてくれたんだよ
金銭的にも、手術代やら全部持ってくれた」


「へぇ~ 妹さんには?」


「昨年、仕事を辞めるときにね」


「どうでした?」


「そりゃ~ 泣いてたよ……
幸い、妹には家族がいる!一人じゃない
乗り越えてくれたようだよ」


「矢野さん… 怖くないですか?」


「怖いさ! でも、生きがいを取り戻した
癌30周年! 祝おうじゃないか!」


「あはっゆーちゃんへの告白がメインですよ
もう!矢野さんったら!!」



凄い


凄いよ


ゆーちゃんも

矢野さんも



私は、臆病者すぎて……














< 57 / 91 >

この作品をシェア

pagetop