恋 ~余命1年ってなんですか?
「楽しんでいるところすまないね」

「いえ 少し疲れてたので助かりました」

「大変な半年だったね」

「そうですね!本当!大変だったけど…
気分最高ですよ!!」

「川谷さんに、頼みがあるんだ
僕の席が空いたままらしくてね
九州企画課 課長になってくれないかい?」

「……矢野さん」

「はい」

「私も……癌なんです」

「……」

「ふぁぁ~やっと、言えた!ふふふっ
まだ、誰にも言ってなくて!
矢野さんが1番です!ふふふっ」

「そんな…… いつから?」

「半年前に、初恋をしたんです!
その人と付き合うことになってすぐ
卵巣癌と診断されました
私は、臆病者で、誰かに相談も出来なくて
手術を拒否したんです
なので、私も余命あと半年なんです!
私の気持ちも、彼に届いたかな…へへっ」


おどけて見せた

でも、矢野さんはものすごく哀しそうに


「まさか… 僕の告白を手伝う為に?」


「違う!!違いますよ!!
本当に、臆病すぎて怖くて…
だから…生きた証を遺したかったんです!
矢野さんに、便乗したかったんです」



真生さんの方をチラリと見ると
私…ガン見されていた


それに矢野さんも気づいたようで


「彼は、確か原君のお気に入りだったね
名前は、藤倉真生君だったかな?」

「凄い!矢野さんって、社員全員知ってるの?私のことも知ってたもの!」

「本当はね!君たちが九州のデパートでイベント担当しただろ?僕はね、あの時から君に目をつけていたんだよ!
原君は、藤倉君推しだったけどね!」


「え!?そんな前?うわぁ恐縮です!」


「九州企画課よろしく頼むよ!
川谷さんのおかげで、僕はまた1つ
夢が出来た!ゆーちゃんと叶えたい夢がね」


「え!ちょっと!矢野さん!!」




にっこりと優しい笑顔

ゆーちゃんのとこに行ったのかな







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