お前のために俺はいる
「冬馬、一緒に帰ろう!」


「またかよ?他に帰るやついねぉの?」


「え〜、だって冬馬はいつもバッグ持ってくれるし」


「なんだよ、それ、、、俺は荷物係かよ」


俺と由奈は一緒に帰ることが多かった。


それは単に席がとなりだからなのか。


帰る方向が一緒だからなのか。


その理由は由奈に聞けるわけもなく、、、。


分からないままでいた。


俺は由奈のスクールバッグを受け取ると歩き始めた。


由奈は俺を追うように早足で俺に追いついてきた。


「ねぇ、ねぇ。そう言えばさぁ、冬馬は部活何入るの?」


そろそろ入部届けを出さなきゃいけない。


「由奈は?もう決めたのか?」


特別入りたい部活があるわけでもない俺。


全員入部が鉄則の決まりはダルい以外の何ものでもなかった。


「私は、、、うーん。冬馬と一緒がいいんだけどなぁ」


「はぁ?何言ってんだよ、、、」


「だって、冬馬だって私と一緒がいいでしょ?!」


そう言う由奈の口調はやけに明るく聞こえた。


「意味分かんねぇ、、、」


歩く歩幅を由奈に合わせて歩きながら、となりを歩く由奈を見た。


「本気でそう思うだけどなぁ〜」


そこには、ちょっとだけ、頬を赤らめた由奈がいた。
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