お前のために俺はいる
「お疲れ様っ」


サッカー部の練習は想像以上にキツかった。


1年生の練習は主にトレーニングが中心。


毎日ひたすら走る、走る、走る。


「冬馬、汗すごいよ」


俺にタオルを手渡す由奈。


マネージャーとしてサッカー部に入部した由奈はいつもグランドで練習を見ていた。


「俺、美術部とかでよかったし、、、」


「ダメダメ!冬馬のサッカーしてるところ見るの好きだもん」


俺の言葉に由奈は大きく首を振ってそう言った。


好きとか簡単に言うなっつうの、、、。


由奈は雑用から部員達のケガのケアまでよく頑張っていた。


「お前ら仲良いなぁ」


練習の休憩時間、手が空いた由奈は俺のそばに来る。


なんとなくそれは当たり前のような感じになっていた。


今ではそばにいる部員でそんな俺達を気にするやつはいない。


「星川、いいよなぁ、、、マネージャー可愛いし。付き合ってんのかぁ?俺も彼女欲しい〜」


入部して間もない頃は先輩に言われたりもしてたけど、


俺より先にそばにいた由奈が嬉しそうに、


「はい。私、星川君と付き合ってます」


「わっ、何言ってんだよ、由奈っ、、、」


由奈は、そんなサッカー部の奴らに堂々とそう答えていた。


落ちついた口調で笑顔の由奈と、動揺を隠せない俺。


「いつから俺達付き合ってんだよ?」


帰り道、いつものように2人で歩きながら、俺は由奈を見た。


「ん?私はそのつもりでずっと冬馬のそばにいるよ。ダメ?」


「ダメ、、、じゃねぇけどさ、、、」


「ダメじゃないなら、よくない?」


由奈の大きな瞳がまっすぐに俺をとらえていた。
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