お前のために俺はいる

笑顔

まだ中学生になったばかりの俺たち。


何もかもが幼くて、ぎこちなくて、


でも何もかもが新鮮だった。


こうして誰かを好きになることも、


俺には初めての感情。


何かに夢中になることも初めての感覚だった。


「冬馬、今度の試合、先発メンバーに選ばれたんでしょ?すごいね!」


俺は先輩達の中で試合に参加することが増えていた。


そんな状況に由奈は俺以上に喜んだ。


「サッカーしてる時の冬馬、なんだかイキイキしてるよね」


「え、そうか?」


当たり前になりすぎていた。


確かに、よく考えればサッカー中心の毎日。


サッカーを通じて仲間も出来た。


最近はサッカーをしている時は時間を忘れるくらい楽しかったりする。


それってサッカーが好きってことなのか。


そうかもなのかもしれない。


いつの間にか、そんな風になってたんだ。


ボールを追うことが楽しい。


そんなことも由奈に言われて実感が湧いてくる。


「由奈は俺より俺のことが分かってるんじゃね??」


「冬馬のことを誰より見てるし。当然!!」


わざと得意げにそう言う由奈。


俺はそんな由奈が心から可愛いと思った。
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