お前のために俺はいる

「由奈にとって冬馬君は特別な存在なのね、きっと」


「俺、、、何も知らなくて、、、何も分かってなかった、、、」


俺の知らない由奈がいた。


「いいのよ、、、由奈が言わなかったんだから、冬馬君は知らなくて当然よ。むしろ、知らないでいてくれたほうがあの子にとっては幸せだったのよ」


俺の知らない由奈は抱えきれないほどの不安と常に一緒にいたんだ。


俺の知っている由奈は由奈のほんの一部。


「由奈に、、、由奈さんに、、、会いたいです、、、」


泣きたくないのに次から次へと溢れてくる涙。


「ありがとう、、、冬馬君は本当に私が思っていた通りの彼氏だわ、、、」


由奈のお母さんは俺の顔を覗き込むようにして、


「はい、これで拭いて」


俺にハンカチを渡してくれた。