お前のために俺はいる
不思議な気分だった。


由奈がいないこの家に俺がいる。


「分かりました、、、由奈さんによろしくお伝えください。僕はこれで失礼します」


「来てくれたこと、由奈に言っておくわね」


「はい、、、」


由奈の病気が治れば、この想いも笑って吹き飛ばせる、、、


その時の俺はそう思っていた。


待つしか俺には出来ない現実。


それまでの我慢だと、、、。


そう思うしかなかった。


「お邪魔しました、、、」


無力な自分に腹が立ってグッと噛み締めた唇。


「また来てね、、、」


振り返り、由奈のお母さんに頭を下げた。
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