お前のために俺はいる
「私、平森由奈、、、だから由奈って呼んでね」


「えっ?」


「だからぁ〜、私のことは由奈って呼んでね!って言ってるの!」


「あぁ、、、うん」


ぎこちない俺の返事に由奈は俺の顔を覗き込むようにして、またニコッと笑ってみせた。


「よろしくね!!」


ショートカットの小柄な子が大きな瞳を俺に向けていた。


なんなんだ?


このザワザワした落ち着かない感じ。


「名前は?私は何て呼べばいいー?」


「俺は星川冬馬、、、」


「じゃあ、冬馬だね。冬馬って呼ぶね!」


由奈が俺の名前を呼ぶ。


「冬馬、あらためてよろしくね」


いきなり呼び捨てかよ、、、って思いながらも、何故かちょっと嬉しくて、、、。


「、、、うん。よろしく」


「さっきの入学式、緊張したね」


「そっかな?」


「えっ?緊張しなかったの〜??緊張感ないんだねぇ、冬馬は」


「うっせぇな、、、入学式なんてダルいだけだよ」


「私は入学式出たらさ、中学生になったんだぁって実感できて嬉しかったけどなぁ」


由奈の声が耳に届くたびに、俺の胸の鼓動が早くなっていた。


「嬉しいか?」


「うん!!私は嬉しい〜」


思えばこれが始まりだったんだ。
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