薫衣草荘の住人











「ふぁー。」








しゃっ。








カーテンを開ける。








春の柔らかい日差しが射し込み








寝起きの私にはすこし眩しい。








大学、行かなきゃな…








私は顔を洗って服を着替え、髪を整える。








「よしっ…」








靴を履き、玄関から飛び出す。








外は生暖かい空気と、花の香りで満ち満ち








ている。








花粉症の人が少し、哀れに思えてしまう。








だって、この素晴らしい春を








めいいっぱい楽しめないのだから。








私は少し浮かれた気持ちで歩き出す。








「なっちゃん♡」








そう呼ばれて振り返る。








「あ!チョコちゃん!おはよーございます!








チョコちゃんもどこかに行かれるんです








か?」








「うん。大学。」








「あ!私もです!」








「一緒…に…」








「あぁ!いいですね!一緒に行きましょう!








チョコちゃん。」








「うん。うん…!」








なんか、








小動物みたいで可愛い♡








「行こ…なっちゃん。」







「あ、はい。」
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