薫衣草荘の住人
「へー!チョコちゃん、美大なんですね。」
「うん。」
「将来はどういうお仕事に就きたいんです
か?」
「アタシ…デザイナーになりたいの…」
「そうなんですね!」
「うん…でも、」
「何かあるんですか?」
「…同じ大学なの。葵と。」
「だめ、なんですか?」
「だめ、ではない。けど…」
「けど…?」
「葵、別に美大に行きたいわけじゃないと思
う。アタシが心配だから、付いてきたんだ
と思う。」
「そうなんですか…?」
「うん…あいつの事は、好きじゃない。け
ど、ずっと一緒にいたから…その位はわか
る…あいつは、私がこんな性格だから…無愛
想だから、心配した。」
「チョコちゃん…」
「…アタシ、あっちの方に行くから。」
「あ、はい。お話聞かせてくれて、ありがと
うございました。」
「うん…」
「また、何かあったら。その時は、私にも相
談して下さいね。」
「…ありがとう。」
そう言って、私達は別れた。