薫衣草荘の住人











「今日の講義はここまで。ありがとうござい








ました。」








講義が終わった。








今日のコマはこれでお終いだから…








どうしよ…








私は大学を出て、あたりをふらふら歩く。








東京は、京都とは違って








高い建物が多い。








そもそも京都は、建物の高さに決まりがあ








るから、








私が知っている京都の1番高い建物は








京都タワー…だろうか。








その時だった。








あるビルから見覚えのある人が出てくる。








あれは…っ!








「衣草さんっ!」








「え…?夏野さん?」








「どうして、ここに?」








「出版社で、打ち合わせがあってね。」








「そうなんですね。」








「夏野さんは?大学はおわったの?」








「はい。今日のコマは終わったんです。」








「そう。」








「あ、の…」








「ん?」








「お昼、まだだったりしますか?」








「あ、そーだね。ずっと打ち合わせで狭い部








屋に5人の男で顔を突き合わせてたからね。








ご飯なんて忘れてたなー。男5人なんて、む








さ苦しくってね。」








衣草さんはいい香りがしますし、かっこい








いと思います。








…なんて思った事は、今は心の中にしまって








おこう。








「じゃあ、一緒に食べに行きませんか?」








「いいよ。」








やったァァ!








「じゃあ、私のオススメの所に行きましょう








っ!」








そう言って私達は歩き出した。
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