薫衣草荘の住人
「お見合い…?」
紅はショックそうな顔をした。
「そう。お見合い。パパの会社の社長さんの
息子さんが、許嫁を探しててね。パパが紅
の写真見せたら、社長さん気に入っちゃっ
て!」
「え…みんな、賛成なの?」
「私は賛成よー!薫もよね?」
「う、ん…いいと、思うよ。」
紅は傷ついた顔をする。
「わかった…」
「ちょっと!紅?」
紅は3日も部屋にこもってしまった。
3日後。
「ねぇ、お兄ちゃん。」
「紅っ!大丈夫だったか?ごめん、あんな事
言って…」
「お兄ちゃん…」
「でも、紅。もう、恋人はやめよう。多分、
今が潮時なんだよ。きっと。」
すると、紅は絶望的な顔をする。
「わかった…ねぇ、お兄ちゃん。お願いがあ
るんだけど。」
「…なに?」
「学校終わったら、迎えに来てくれない?教
室まで。」
「…わかった。」
「ありがとう。お兄ちゃん。」
そう言って、紅は家を出た。