薫衣草荘の住人
その後も私は衣草さんを避け続けた。
苦しくて仕方なかった。
こんなに恋をしたのは初めてかもしれない。
…違う。
恋なのかも、今の私にはわからない。
そんなある日だった。
「蜜柑ちゃーんっ!いるー?」
「え…?」
私はドアを開ける。
「あれ、月人さん…?」
「お、名前覚えててくれたんだねー。」
「はい。」
「ねぇねぇ、今暇?」
「一応、課題をしてますけど…」
「え!じゃあさ、息抜きにご飯食べに行かな
い?」
「…いいですよ。」
私はご飯食べに行くことにした。
本音を言うと、課題は停滞気味だった。
気分転換にも、隣人である月人さんを知る
為にも、
行こうと思えた。
それに、
衣草さんと名前で呼びあっているのは月人
さんだけだ。
どういう関係なのか、気になった。