薫衣草荘の住人
「ママ…?」
アタシがなかなか寝付けずに起きて、リビ
ングに行くと、ママは倒れていた。
「千代、子…」
微かにママはアタシの名を呼ぶ。
目の前は血の海。
これは…誰の血?
そのうちにママはしゃべらなくなった。
「ママ…?どうしたの?ママ。」
幼いアタシには、目の前で何が起きている
のか分からなかった。
「佳代っ!」
パパが仕事から帰ってきたようだ。
しかし、アタシには目もくれず、ママか寝
ている場所へ駆け寄った。
パパはママを抱きしめる。
しかし、
「はっ…ははっ!はははっ!」
高らかに笑い始めた。
何かがおかしい。
何があったの…?
そして、ある場所に電話をかける。
「美冬さん、佳代が死にました。これでよう
やく、一緒になれます。」
美冬さん、って誰?
その次の日から、パパは家に帰ってこなか
った。