薫衣草荘の住人
連れてこられたのは、203号室。
つまり、衣草さんの部屋。
衣草さんが玄関を開けると
「わぁぁ!新顔ちゃんだぁぁ!」
迎えてくれたのは、同じ顔をした男の子達。
「はじめ、まして…夏野 蜜柑です。」
「僕は波風 るい!」
「ボクは波風 ろい。」
「顔が、ソックリですね…」
「うん!だって、僕達は双子だから!」
「双子で歌い手してる。 」
「そうなんですね。」
「さ、玄関で立っているのもあれだし、入っ
て入って!」
そう促されて、奥に進むと
「どーも。夏野さん、だよね?」
「あ、はい。よろしくお願いいたします。」
そこにいたのは、私と同い年位の女性。
「アタシ、森永 千代子。よろしくね。」
「コイツの事はチョコって呼べばいいんだ
よ。」
「え…?」
トイレから出てきた男の人が言う。
「チョコって呼ぶな。少なくとも、お前は。」
「相変わらず、口が悪いなぁー。」
「うっさい。葵。」
「葵…」
「あ、俺は日向 葵ね。チョコの幼馴染みだ
よ。」
「…あんたが幼馴染みとか、反吐が出そう。」
「冷たっ!てか、酷くない?」
「…アタシ、帰る。」
「え!待って!千代子!なっちゃん困っちゃ
うから!」