薫衣草荘の住人











「…その後、警察が来て。パパも死んだの。








不倫相手と車の中で心中したみたい。アタ








シはその後、施設に引き取られた。その間








も、葵は毎日面会しに来たけど、アタシは








拒否した。」








「…でも。葵さんは、どうして薬を…」








「…アタシのパパが、葵のパパに自分のミス








を押し付けたの。それのせいで、葵のパパ








が会社での居場所を失って…帰り際に、葵の








ランドセルにママの薬を詰め込んだの。」








「それじゃあ、葵さんは…」








「分かってる!葵のせいじゃないのは、アタ








シが一番分かってる…でも、葵はずっと罪の








意識を持ち続けてる。だから…アタシと一緒








にいるの…」








「チョコちゃん…」








「本当は、葵にはアタシに捕われずに、もっ








とキラキラした別の場所にいて欲しい…アタ








シなんかと…」








「…捕われているんじゃ、ないんだと思いま








す。」








「え…」








「あ、ごめんなさい。私が言える立場じゃな








いんですけど…でもきっと、葵さんはただ純








粋に、チョコちゃんが好きなんじゃないか








と…」








「そんなこと…」








「多分、チョコちゃんへの罪悪感だけじゃな








くって、一緒にいたいんだと思います。」








「…」








アタシといたって…
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