薫衣草荘の住人
次の日になって、熱は下がった。
今日は必ず大学に行かなくては…
アタシはまだ重い体を起こして身支度を始
める。
「ふぅー…」
アタシは大きく息を吐いて、家を出た。
外に出ると、いつもはアタシの部屋の前に
いるはずの葵が、いなかった。
…これでいいんだ。
なっちゃんはああ言ってくれたけれど、
やっぱり、葵は日のあたる場所にいるべき
だ。
アタシと一緒に居るべきじゃないんだ。
…そう思いながら、胸の奥がチクチクする。
アタシは、大学に向かって歩き出した。
季節は夏だ。
日差しが痛いくらいに注いでいる。
少し苦しい。
でも、アタシは止まらずに歩いた。