薫衣草荘の住人
「あーあ、NEWシングル。僕あんまり好きじ
ゃないんだよねぇ。どう思う?ろい。」
「そう?ボクは嫌いじゃないよ。ただ、サビ
の盛り上がりには欠けるよね。」
「そ〜なんだよ!やっぱろいは分かってる!
さすが、血を分けた弟!」
「…別に。」
「もー!可愛げないなー。」
ボクらは一卵性の双子だけど性格は全く正
反対だ。
るいは明るくて、人に気配りも出来て…
それに、歌もボクよりはるかに上手い。
それに比べてボクは…
ボクは根暗だ。
弱虫で、引っ込み思案で…
正直、ボクはるいの足でまといだと思う。
それにボクは…
「ろい…?」
「え…」
はっと、我に返る。
「あ…ごめん。何だったけ…?」
「もー!ろい!ボーッとしちゃってー。」
「ご、めん…」
「ねぇねぇ、そーいやさ。」
「うん。」
「蜜柑ちゃん、可愛くない?」