薫衣草荘の住人
「おー!波風 弟!」
家に帰ると
「み、美下さん!?」
ボクの部屋の前で美下さんが立っていた。
ドキドキ…
心臓がうるさいッッ!!
「…どうか、しましたか?」
「いーや、何でもないけど…あ、これやるよ」
そう言って差し出されたのは
「缶コーヒー…?」
しかも、ブラック…
「おーっと、ボクっ子には早いお味かな?」
美下さんは意地悪そうな笑みをこぼす。
その笑顔にさらに心臓がうるさくなる。
ダメなのに。
「ありがとうございます…失礼します。」
ボクは一目散に部屋に入る。
心臓の音が鳴り止まない。
ボクは大きなため息を吐いた。
こんな思い
早くなくなればいいのに。
「名前で呼んでくれればいいのに…な。」
ボクは小声でそう呟いた。