薫衣草荘の住人
ボクは仕事帰りが休みだと、家でゴロゴロ
してしまう。
いつもキラキラした世界にいるから、疲れ
てしまう。
もっとも、
るいは光、ボクは影だ。
裏方で十分。
むしろ、裏方でも光が当たりすぎるくらい
だ。
そもそも、本当はるいだけでのデビューの
はずだった。
ただ、直前になっていきなり
「一卵性双生児の歌い手なんて、キャッチー
じゃない!」
という、社長の一言で
なぜか、ボクも一緒にデビューが決まって
しまった。
今なら思う。
どうしてあの時断らなかったんだろう、と。
断っておけば…
るいの足を引っ張らなくっても済んだのに…