澄みわたれ!
衝撃のトランペット(フォルテもピアノも切なくて)
衝撃の事実は、思わぬスピードで駆け抜けた
「はぁ」
練習のし過ぎか、普段あまりならない酸欠に少しの間陥った
あと、3日。か
オーディションの日は刻々と迫って来ていて、遂に3日を切った
連符はというと
まだだ。
あと、少しなんだけど
指が絡まってしまう
あとは、早まらないこと。
8分音符が2つ並んでいると、どうしても詰まりやすい
あと、休符も意識して、、、
1分1分が惜しい
もっと、時間が欲しいのに
「まりちゃんも、聞く?」
突然話を振られ、びっくりしてしまった
「え、あ、はい。」
今日はみんな休んでて、しずか先輩とかのん先輩と私しか居なかった
しずか先輩の口が開く
「実はさぁ、あたし。、、、転校することになったの」
耳を疑った
意味が、分からない
「え、しずか先輩、聞き間違いですか、転校って聞こえたんですけど」
「大丈夫。合ってる」
「合ってないことを期待してたんですけど、、、なら、アレですか?だいぶ早いエイプリルフールですかね?」
「早すぎない?2週間も前なんだけどね」
ふふ と、小さく笑った
「いやでも、じゃあ、吹コンー・・・」
「まりちゃんに任せる。ピッコロ」
目を、見開いた
あれ、ホントのホントに、、、
転校してしまうのか
苦い思いだった。
オーディションして受かっても受からなくても、ピッコロできるということと、
先輩が居なくなってしまうことと
つくづく思う
あぁ。私は嫌な人間だな、って
先輩がいなくなるのは悲しいのに。
ピッコロが吹けることを嬉しく思っているんだ
先輩が居なくなることによって得るものに
喜びを感じている